その練習、ムダかも?神経科学から学ぶ効率的スキル習得法

ただ「繰り返す」だけでは、スキルは身につかない

「何度やっても上手くならない…」

そんな経験、ありませんか?

スポーツや楽器、プレゼン、タイピングなど、私たちは日々さまざまなスキルを習得しようとしています。しかし、やみくもに時間をかけるだけでは成果につながりにくいのも事実。

そこで注目したいのが、スタンフォード大学医学部の神経科学者、アンドリュー・ヒューバーマン教授の研究です。

彼のポッドキャストでは、運動スキルの習得をテーマに、脳科学に基づいた効率的な学び方が紹介されています。今回はその中から、日々の仕事や生活に応用できるエッセンスを厳選してお届けします。

スキルの2種類を知ろう:オープンループとクローズドループ

スキルとひと口に言っても、実は2種類に分類されます。

  • オープンループスキル:動作の結果が後から返ってくる(例:ダーツ、ピアノ演奏)
  • クローズドループスキル:動作中に継続的なフィードバックがある(例:ランニング、会話)

この違いを知ることで、自分の練習法を見直すきっかけになります。

また、スキル習得には以下の3つの要素が必要です:

  1. 感覚の知覚
  2. 運動動作
  3. 固有受容感覚(身体の位置や動きの自己認識)

つまり、「見て」「動いて」「感じる」ことがセットになって、はじめてスキルは身についていきます。

エラーは成功の母:スーパーマリオ効果に学ぶ

「ミスをしないように気をつけよう」ではなく、「ミスから学ぼう」と意識を変えることが、実はスキル習得を加速させます。

これは“スーパーマリオ効果”と呼ばれる研究でも明らかになっています。失敗に対して前向きなフィードバックを受けたグループは、否定的なフィードバックを受けたグループよりも学習成果が高かったのです。

ミスは脳にとって「もっと注意しよう」「次はこうしよう」という重要な信号。脳の可塑性(neuroplasticity)を高めるチャンスでもあるのです。

練習後の5分がゴールデンタイム!

練習が終わったら、すぐにスマホを開く…その習慣、ちょっと待った!

フーバーマン教授は、練習後の5〜10分間は静かな環境で過ごすことを推奨しています。脳が新しい運動パターンを再構築・定着させるためには、このクールダウンの時間が重要なのです。

この“記憶の固定化”を促す静かな時間を取り入れるだけで、翌日のパフォーマンスに大きな差が出るかもしれません。

ミスを恐れず「量をこなす」ことが大事

上達には回数が必要です。とはいえ、ただ漫然と繰り返すのではなく、「試して→ミスして→修正する」というループを意識しましょう。

このサイクルを1回でも多く回すことが、効率的な学習につながります。ミスは宝。チャレンジと修正を恐れず、どんどん試してみることが成長の鍵です。

リズムと音で集中力を上げる

中級者以上になると、メトロノーム一定のリズム音を使った練習が効果的になります。リズムがあることで、動作が安定し、繰り返しが効率よく行えるようになります。

また、一定のリズムは脳の活動を高め、集中力を高める効果もあるとされています。仕事やプレゼン練習の際にも活用できそうですね。

イメージトレーニングも立派な練習

スポーツ選手がよく取り入れている“イメトレ”。これは、実際の動作と同じ脳の部位を活性化させることがわかっています。

とはいえ、これはあくまで補助的な手段。やはり実際に身体を動かしてこそ、より深い学びと成果につながります。

サプリメントに頼りすぎない

最近では、Alpha GPCなどの成分がスキル習得や集中力アップに効果があると注目されていますが、基本はあくまで

  • モチベーション
  • 繰り返しの実践
  • 集中できる環境

この3つが、パフォーマンス向上の王道です。サプリメントはあくまで“補助輪”と考えましょう。

まとめ

最後に、今回ご紹介したスキル学習のコツをまとめます:

  • スキルには「結果型」と「フィードバック型」がある
  • ミスは脳の学習チャンス!前向きに活かそう
  • 練習後の5〜10分は静かに過ごすことで記憶が定着
  • 試して→ミスして→修正、のループをたくさん回そう
  • リズムや音を活用して集中力を高めよう
  • イメトレも活用、でも実践が最重要
  • サプリよりも、まずはやる気と環境づくり

スキル習得は誰にとっても一生のテーマ。効率よく学ぶための“脳の使い方”を知ることで、あなたの仕事や日常にも確実に変化が生まれます。

今日の練習、ちょっと意識を変えて取り組んでみませんか?

参考

参考 How to Learn Skills Faster | Huberman Lab EssentialsAndrew Huberman