はじめに:慢性的なお腹の不調、原因は食べ物かも?
「なんとなく毎日お腹が張る…」「外出先で突然お腹が痛くなって困る」「病院では“異常なし”と言われたけど、やっぱり調子が悪い」ーーそんな悩みを抱えていませんか?
特に社会人にとって、通勤や会議中に突然の腹痛に襲われるのは大きなストレスです。僕自身も以前は、「体質だから仕方ない」と半ばあきらめていました。でも、実はこの不調、「FODMAP(フォドマップ)」という糖質群が原因になっていることがあるんです。
今回は、「FODMAPとは何か?」「なぜお腹に影響するのか?」「どんな食材を選べば良いのか?」を、できるだけ分かりやすくお届けします。
FODMAPとは?:見落とされがちな腸内トラブルの原因
FODMAPとは、以下のような「発酵性の糖質」の総称で、次の頭文字を組み合わせた言葉です:
- Fermentable(発酵性)
- Oligosaccharides(オリゴ糖)
- Disaccharides(二糖類)
- Monosaccharides(単糖類)
- And
- Polyols(ポリオール)
これらの糖質は、小腸でうまく吸収されにくいため、大腸まで届いて発酵し、ガスが発生します。その結果、膨満感や腹痛、下痢、便秘といった症状を引き起こします。
特に「過敏性腸症候群(IBS)」の患者さんの多くがFODMAPに敏感だとされており、症状緩和のために世界中の医療現場で「低FODMAP食」が導入されています。
高FODMAP食材と低FODMAP食材の違いとは?
高FODMAP食材(例)
- アスパラガス
- キノコ類
- カリフラワー
- キャベツ
- ごぼう
- ゴーヤ
- 里芋
- さやえんどう
- セロリ
- 大根
- たまねぎ
- チンゲン菜
- とうもろこし
- 長ネギ
- なす
- にら
- にんにく
- 白菜
- ビーツ
- ピーマン
- ブロッコリー
- ミニトマト
- れんこん
日常的に使う食材が多いため、いきなり避けるのは難しく感じるかもしれません。しかし、少量なら問題ないことも多いので、自分の体と相談しながら判断することが大切です。
低FODMAP食材(例)
- 青唐辛子
- 大葉
- オクラ
- オリーブ
- かぼちゃ
- きゅうり
- ケール
- じゃがいも
- しょうが
- たけのこ
- トマト(ただしミニトマトは量に注意)
- にんじん
- たけのこ
- パセリ
- ほうれん草
- バジル
- もやし
- ルッコラ
- レタス
工夫次第で、低FODMAPでも彩り豊かで美味しい食事を作ることが可能です。最近では、レシピ本やFODMAP対応商品も増えてきており、取り入れやすくなっています。
実践方法:低FODMAP食の3ステップ
ステップ1:除去フェーズ(2〜6週間)
まずは高FODMAP食材を徹底的に避け、腸を休ませます。これにより、体の反応をリセットし、本当に問題がある食材を特定しやすくなります。
外食を控え、自炊中心にするのが理想。シンプルな素材を使って、体調変化を丁寧に記録しましょう。
ステップ2:再導入フェーズ
1種類ずつ高FODMAP食材を戻して、体の反応を観察します。たとえば、りんごを少量食べて様子を見て、問題がなければ「OKリスト」に追加していく形です。
反応があった食材は「NGリスト」に。ここで無理をすると逆効果なので、焦らず進めることがポイントです。
ステップ3:維持フェーズ
NG食材を避けながら、バリエーション豊かな食事を楽しむ段階です。完全除去ではなく「バランスを保ちつつ、体調を整える」ことを目的とします。
まとめ:お腹の悩みを卒業する第一歩は“知ること”から
慢性的なお腹の不調は、決して“気のせい”ではありません。そして「体質」として片付ける前に、まずはFODMAPという選択肢を知ってみてください。
もちろん、全員に効果があるとは限りませんが、試してみる価値は十分にあります。大切なのは、「完璧を目指さず、自分の体と対話しながら続けていくこと」。
お腹が整うと、生活全体が整います。仕事のパフォーマンスも上がり、メンタルも安定してきます。まずは、今日の食事から、少しだけ“低FODMAP”を意識してみませんか?